空の姫と海の王子
◇夢、夢……夢?
──生き物の気配がしない
気味の悪いほど静まった森
森が開け、目の前に広がるのは
透き通った水がキラキラ輝く湖
思わず息を呑むほどに
綺麗な光景を前にして
ハルは深い溜め息をついた
「溜め息なんてついて、嫌な事でもあったの?」
そう言って微笑んだ
深い緑色の髪に金色の瞳の少年
ハルはまた深い溜め息をついた
何であなたがいるの……?
てゆうかまたこの夢ー……
キスされかけたのが
だいぶトラウマなのか
ハルは関わらないように回れ右をした
「おやすみなさいっ!!」
現実に戻る為に走り出したハル
少年が追ってくる様子は無く
早く覚めて!と祈りながら
光速で森を駆け抜ける
やっと森を抜けたと思ったら
「おはよう」
「おはよー……じゃないってえっ!!」
目の前で微笑む少年を
ハルはビシッと指差した
「そこは¨おかえり。¨でしょーがっ!!春はまだ起きてないのっ!」
……え、そっち?
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