空の姫と海の王子


雷神と風神に姿は見せたから
空と海に僕の事を報告したと思ったけど
違ったみたいだね


「残念、俺は守り人じゃないよ」

「じゃあ誰なの?名前も知らないし……」


首を傾げて考えるハルに
少年は小さく笑った


「知らないって事は、まだその時じゃないって事さ。時が来たら教えてあげる」


俺が誰なのか
何のためにいるのか

全てを……ね


「……よく分かんないや。まあいいやっ、今度教えてねっ!じゃあハルは帰るからー……って!」


ハルはハッとすると少年に歩み寄った
何だろう。と顔をしかめる少年


「今度は帰れるよねっ?」

「……ああ、そっか。うん、帰れるよ。だけどその前に……」

「え?」


少年はハルの首に掛かる
銀色のチェーンを引っ張った

その先には箱のチャームが付いていて
空色の箱には小さな鍵穴が空いている

ハルは顔色をサッと変えて
少年の手からそれを奪った


「……あれ?珍しいネックレスだね。ねえ、よく見せてよ」

「これはだめ。絶対だめ。絶対絶対絶対絶対絶対絶対だめっ」

「えー……。どうせ夢なんだからいいじゃん」


そう言うやすぐに
ハルの手からネックレスを奪う

取り返そうとしたハルだが
ガクンと体の力が抜けて
徐々に視界が薄れていく


「少し借りるねー」


ニヤリと笑った少年の顔
それを最後にハルは意識を失った


_
< 47 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop