空の姫と海の王子


「──……もうっ!何なのーっ!?」


目が覚めたハルは怒っていた

なぜなら


「ここどこおぉーっ!?」


自分の部屋でナナ達と寝たはず
なのに、ここは知らない部屋

壁に床に天井に扉
全てが白で統一された
体育館並みに広い部屋の
中心にポツンと立つハルは
泣きながら壁に雷を撃っている

……色々な意味で危ない


「何なのおぉーっ!!ここどこおぉー!?あいつは何なのさーっ!!」


ハルの雷を受けても
この部屋は傷一つ出来ない

ハルは無意味な攻撃を止めると
はあ〜、と深い溜め息をついた

少年の言った言葉が頭から離れない


そう言えば、教えてなかったね
どうしてここから出れなかったか

それはね……──


「もう逃げれない……かあ」


ハルは逃げるなんて必要ないのに
なんであんな事言ったんだろ?

天下無敵のハル様は
絶対に逃げないんだからっ


心の中でガッツポーズしたが
ハルは、はて?と首を傾げた


「ハルは何から逃げるんだろ?……鬼ごっことか?」


うーん、と考えるハルの後ろで
大きな音を立てて部屋の扉が開いた


_
< 48 / 339 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop