空の姫と海の王子
「──……もうっ!何なのーっ!?」
目が覚めたハルは怒っていた
なぜなら
「ここどこおぉーっ!?」
自分の部屋でナナ達と寝たはず
なのに、ここは知らない部屋
壁に床に天井に扉
全てが白で統一された
体育館並みに広い部屋の
中心にポツンと立つハルは
泣きながら壁に雷を撃っている
……色々な意味で危ない
「何なのおぉーっ!!ここどこおぉー!?あいつは何なのさーっ!!」
ハルの雷を受けても
この部屋は傷一つ出来ない
ハルは無意味な攻撃を止めると
はあ〜、と深い溜め息をついた
少年の言った言葉が頭から離れない
そう言えば、教えてなかったね
どうしてここから出れなかったか
それはね……──
「もう逃げれない……かあ」
ハルは逃げるなんて必要ないのに
なんであんな事言ったんだろ?
天下無敵のハル様は
絶対に逃げないんだからっ
心の中でガッツポーズしたが
ハルは、はて?と首を傾げた
「ハルは何から逃げるんだろ?……鬼ごっことか?」
うーん、と考えるハルの後ろで
大きな音を立てて部屋の扉が開いた
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