空の姫と海の王子
「──なんか……疲れたあ」
朝食を食べ終えたハルは自室に戻ると
すぐさまベッドに倒れ込んだ
寝る前まで一緒にいたナナ達も
今は部屋にいないし、布団もない
散らかした物は全て使用人が片付けた
布団は毎日ふかふかだし
部屋はすごく広いし
掃除もしなくていいし
毎日が楽な生活だけど……
「つまんないな〜……」
ハルは大きな溜め息をついて
ベッドサイドのテーブルに
飾られた写真立てを手に取った
¨海斗君片思い卒業パーティー☆¨
と落書きされた写真には
ハルとカイトを中心に仲間が写っている
人間界での日々を思い出しながら
ハルは小さく笑って写真を戻した
その手は微かに震えている
「……みんなに会いたいな」
みんなに会う為の¨鍵¨
ハルは胸元のネックレスを握り締め……
「……ない」
ハルはすぐベッドから降りて
鏡の前に立ち、胸元を確認すると
力無くへなへなと座り込んだ
「嘘でしょ……?」
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