空の姫と海の王子
「──カイト様?カイト様ならお食事を済ませた後、ここにいらして、今はハル様の部屋に向かっている筈ですよ」
「は?ハルの部屋に向かってる?」
「ええ」
面倒くさそうに眼鏡を上げた大臣は
驚いて口が開きっぱなしのナナを見ず
机の上に広げられた書類に目を通す
ここは大臣の部屋
壁一面が本棚となっていて
重苦しいし、堅苦しい部屋
「全く……何であいつはジッとしてられないのかしら?面倒くさいわね」
「ところで、海斗様に何かご用が?」
「べっ別に用何てないわよ!!遊びにいってあげるだけよ!!」
「………」
書類に向けていた視線を
戸惑う表情のナナに向けると
大臣は深い溜め息をついた
「とにかく、これ以上面倒な事は起こさないで下さい。私はご覧の通り、忙しいので」
「わっ分かってるわよ!」
疑うような視線を向ける大臣に背を向け
ナナはすぐさま部屋を出た
……怪しいですね。
大臣は普段とは違うナナに
様々な疑問を感じていた
「……恐ろしいわ」
ナナはブルブルと怯えながら
ハルの部屋に向かって走った
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