空の姫と海の王子
間抜けな声が聞こえたせいで
二人の集中力は途切れてしまい
ぶつかり合っていた業は消滅した
黙って俯く二人の表情は見えないが
全身からは怒りが溢れ出ていて
周りの空気が怯えるように震えた
そんな空気に気づかないリクは
ナナを後ろから抱き締めると
サラサラの黒髪に顔をなすりつけた
「ナナ〜!どこ行ってたんだよ!俺めっちゃ探し「………て」
「え?」
「消えて。離れて。死んで。消滅して。跡形もなく消えて。今すぐ消えて。てゆうか消すわ」
「え……えぇぇえええ!?ちょ!ナナ待っ「《四ノ舞・青龍》」
リクが停止を求める前に
ナナは扇で風を起こした
その風が青い龍へと変化すると
ナナはビシッと陸を指差した
「消しなさい」
「ちょ!青龍!?待て待て待て『御意』
リクの額から冷や汗が流れ落ちるのと
青龍の返事がしたのは同時だった
「嘘だろおぉぉおおお!?」
悲鳴を上げて逃亡したリクと
それを追い掛ける青龍
一人と一匹が見えなくなると
ナナとカイトは顔を見合わせ
深い溜め息をついた
勝負が着かなかった事に対してで無く
リクの馬鹿すぎる行動についてだ
もう勝負はついていたから
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