空の姫と海の王子


「また手加減したわね。全く……カイトの成長には驚かされるわ」

「どーも。でもナナも前より強くなってるじゃん」

「いいえ。まだまだよ」


ナナは口元に手をあててクスリと笑った

カイトも微笑を浮かべたが
すぐに無表情になって扉を指差した


「ハルの結界を壊してくれ。何考えてるんだか分かんねえけど、部屋全体に張ってあるんだ」

「ハルの結界?じゃあハルは部屋にいるのね」

「ん。大臣がそう言ってた」


だけど朝起きた時には
ハルの姿は消えていたわ

ハルは何かを隠してるの?

だけどハルはリクぐらい
嘘をつくのが下手だから……


ナナは少し考えたが
よく分からなくなって、止めた

そして扉に手をついて目を瞑り
ハルの結界を探るように集中する

まだ張ることに慣れていない
ハルの結界なら脆い部分がある筈だ


「……あったわ」


ナナは結界が薄い部分の重力を操作し
耐えきれないほどの重力をかける


パリン


ガラスが割れるような小さな音と共に
ナナの張った結界は消滅した

ナナは額に浮かんだ汗を拭い
カイトに向かって微笑んだ


「もう大丈夫よ」

「ありがとな」


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