空の姫と海の王子
「ハルはまた抜け出してきたのかー。そろそろ大臣が泣くぞ?」
「リク、今日は礼儀作法の授業の日じゃなかったかしら?」
「……いや〜いい天気だな〜!」
「いつもこの天気よ。馬鹿ね」
ナナに冷たく扱われて
ガーンと落ち込んでいるのは
燃えるような赤い短髪に
同じように赤い瞳
耳にはたくさんのピアスと
第一印象はチャラ男──リク
そんなリクを可哀想に思いながらも
ハルの視線は既に別の方を向いていた
長めの黒茶の髪に端正な顔立ち
180cmと高い身長の少年は
海のように蒼い瞳で春を見ると
表情を崩して微笑んだ
胸がキュンと反応すると同時に
春は少年に抱きついた
「カイトっ!さっきはありがとっ」
「はいはい」
少年──カイトは小さく笑って
ハルの頭をクシャリと撫でた
とっても幸せそうな二人の周りは
ピンク色の空気で満たされている
「ハルちゃん!!この饅頭………」
再び襖が開いて入ってきた金髪の男は
目の前のラブラブな二人を見て
手に持っていた饅頭をポトリと落とした
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