空の姫と海の王子


カイトとナナは部屋に入ると
きょろきょろとハルを探した

カイトはベッドに目をやると
安心したように息を吐き
ナナの肩をトントンと叩いた


「何……あら」

「ったく。心配かけやがって」


面倒くさそうに言ったカイトだが
その口元が緩んでいるのを見て
ナナはクスリと笑って
ベッドの中ですやすやと
寝息をたてるハルの横に座った


「ハル、起きてちょうだい」

「んー……」

「起きて、ハル」

「やー……」


一向に起きなさそうなハル
ナナは溜め息をつくと
ハルの耳元で楽しそうに囁いた


「ハル、カイトが浮気したわよ」

「っ!?」


その言葉に勢い良く起きたハルは
困惑した表情のカイトを見つけ
ぶわっと涙を溢れ出させた


「カイトの馬鹿あーっ!」

「はあっ!?ちょ、ハル!嘘だって!!」

「言い訳なんて許さないんだからっ!ハルは……ハルは実家に帰らせてもらいます!」

「違う!ナナてめえ……」


わんわんと泣き喚くハル
カイトがナナを思い切り睨むと
ナナが楽しそうに微笑んだ


「相手は美人で巨乳の大人の女って感じの人らしいわ」

「美人で巨乳……?ハルと正反対の子がタイプなの……?ハルは…………」

「違うって!俺のタイプはー……っ///」

「あら、照れてる」

「誰のせいだてめえ!!」


カイトは少し顔を赤くして
クスクス笑うナナに怒鳴る


さっき手ぇ抜いた嫌がらせだ
絶対そうだ

このねじ曲がった性格
どうにかなんねえのかよ!


心の中でナナに文句を言うと
カイトは深く溜め息をついて
両手に¨嵐¨を発動させている
ハルの頭にポンと手を置いた


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