空の姫と海の王子
『──カイトさんも不安なんだ〜』
「ウタ……お前いつからいたんだよ」
『カイトさんがハルちゃんをぎゅーっと「いうな!!」
聞いたのはカイトさんじゃーん
とヘラヘラと笑うウタに
かなりの苛立ちを感じながら
カイトは深い溜め息をついた
「ハルは、いつもああなんだ」
『¨ああなんだ¨って?』
「俺達の知らない所で、俺達の知らない事をして、全部自分で解決しようとする。俺達に心配かけたくないとか、迷惑かけたくないとか、すげーくだらない理由で」
ハルのベッドを見つめながらも
どこか別の所を見ているような
カイトの海色の瞳に映っているのは
多分、ここにはいないハルの姿
普段ほとんど話さないハルの話
ウタは黙ってその話を聞いていた
「……不安なんだ。いつハルが他の男に取られて、俺から離れるか分かんねえ。一番近くにいる筈なのに、抱き締めてても安心できねえんだ」
ハルは何も話さねえから
鍵の事だって
ひとりでどうにかしようとしたから
部屋に結界を張ったんだろ?
頼ってくれていいのに
ハルは誰にも頼ろうとしないんだ
「……ハルにとって、俺はなんなんだ」
『¨彼氏¨でしょ?いや〜。カイトさんって何気に女々しいな〜』
「うるせえ」
なんか今日のウタ
すげームカつくな……
カイトは舌打ちをすると
もう話す気が失せたらしく
部屋を出て行こうと立ち上がった
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