空の姫と海の王子
『カイトさんも、ハルちゃんも不器用なんだよ。自分の気持ちを伝えて拒絶されるのが怖いから、自分の心の中に留めてるんでしょ?』
のんびりとした口調だが
核心を突いているウタの言葉に
カイトは背中を向けたまま立ち止まった
『素直になんなよ。カイトさんってハルちゃんに弱い所見せないようにいつも変に意地張ってるよね』
「……うるせえ」
『だからー。そういう所を直すんだよ』
声に出さないと伝わらないよー
とウタはまた笑った
素直……か
カイトは少し考えて、顔をしかめた
「俺の気持ちを素直に伝えてもハルが理解できねえな」
『あー……ハルちゃんは最強の鈍感姫だからね〜……』
「ま、やってみっか。ありがとなウタ」
カイトが振り返って笑うと
ウタはカイトに向かって
笑顔で手を差し出した
しばらく笑顔のまま固まる二人
アドバイスのお礼は?
そんなのねえよ
無言のまま笑顔だけで
会話をする二人の間に
だんだんと火花が散り始めた
王子でしょ?
金、ちょうだい
神様の給料っていいんじゃねーの?
神様は年中無休のタダ働きなんだよ
下界で欲しい物あっても買えないの
だから、金ちょうだい
嫌だね
あくまでも無言で目だけで会話
と変な意地を張っている二人を
窓の外から見ていたミウは
若干引いていたとかいないとか
『……変』
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