空の姫と海の王子


ぺちぺち

───。


……なにもう……
春は眠いんです〜……


ぺちぺちぺち

──る。


うー……何この音……


ぺちぺちぺちぺち


「ハルー。こんな所で寝てると風邪引くよー」

「……ん……?」


呑気な声に反応して
ゆっくりと目を開ける

視界に金色の瞳が入って
緑色の髪が見えて


……なんだ、夢かあ……


ハルはまた目を閉じた


「………」

「………」

「……っええええ!?」


ハルは勢い良く飛び起きると
もの凄い速さで後ろの木に隠れた

バクバクと心臓が煩く
変な汗も出て来て
パニック状態のハルは
ゆっくりと深呼吸をする


吸って、吸って
吐いて、吐いて、吐いて……かはっ!


息を吐きすぎてむせるが
少し落ち着いたらしく
そっと木から顔を出すと
ポカンと口を開ける
緑色の髪の少年と目が合った


「………」

「………」

「……こんにちは」

「あ、こんにちは……って!!」


周りを見回すとお馴染みの森
少年の後ろには綺麗な湖


「来れた……やったあーっ!!」

「うわっ!?」


ハルは嬉しさのあまり少年に
タックル……いえ、飛びつきました


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