空の姫と海の王子


「……笑いすぎっ!!」

「だって……ぷはっ!!」

「っう〜〜///」


真っ赤な顔で俯くハルの横で
お腹を抱えて爆笑する少年

ハルのタックルを受けた後
しばし意識を飛ばした少年は
起きてからずっとこの状態だ

ようやく落ち着いてきたのか
少年は目尻に浮かんだ涙を拭った


「ふー、おもしろかったー……で?何でハルは力使い果たしてまでここに来たんだ?俺に会いに来たとか?」

「……うん。会いに来たの」

「はあっ!?」


少年が驚いてハルを見ると
ハルはにっこりと笑顔を向けるが
すぐさま目つきを鋭くし
少年のポケットに手を突っ込んだ


「あ!!」

「君に会って返してもらう為に来たんだ〜」


へへーんっ
と威張るハルの手の中には
淡く空色に光る箱のチャーム

少年は一瞬眉をひそめたが
ハルがそれに気付く前に
大きな溜め息をついた


「あーあ。それ綺麗だから気に入ってたのにな」

「ハルにとって大切な物なのー!……あ、でもこれあげるっ」


ハルはごそごそとポケットと漁ると
はいっ、と少年に手渡した


「……綺麗」

「でしょー?今まで付けてたんだけど、ハルにはもう必要ないんだー……。でも、捨てるのは嫌だからとっといたんだけど」


君にあげるねっ

そう言って笑ったハルの笑顔に
少年の心が小さな音を立てた


なんだ……?


初めて聞いた
トクン、と小さな音

手のひらの上で輝く
空色の花の石が付いたネックレスが
やけに眩しく見えた気がして
少年はギュッとそれを握り締めた


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