空の姫と海の王子


ハルの運動能力は
楽園の誰よりも高い

普段ならこんな攻撃
余裕で避けて、カウンター


それなのに
何故か避けれなかった

見ることさえ出来なかった


どうして……?


怯えた瞳で見上げると
少年はニコリと微笑んだ


「甘いよ。俺はいつでもハルの事を殺せる」

「……え?」

「だってそれが俺の運命。その為だけに、今まで生きてきたから」


少年の声を疑った


ハルを殺す為に
君は生きていた?

じゃあ、
じゃあ何で?


「何で……能力者狩りなんてするの?人間のみんなには関係ないじゃん」

「それも俺の仕事だから。今忙しいんだよねー」

「はあ……?」


何でそんなに軽く言うの?

人の命はそんなに軽いの?


キッと睨むハルを見て
少年は小さく笑うと表情を消した

雰囲気までもが冷たくなり
首に添えられた手が軽く当たった


「自分の立場分かってる?俺はいつでもハルを殺せるの。そんな生意気な顔してたら今すぐ殺してあげたくなる」

「……ハルを殺したいなら、殺していいよ」

「は?」


少年は耳を疑ってハルを見た

ハルは相変わらず少年を睨み
大きな声で叫んだ


「ハルを殺していいから!だから……人間のみんなには手を出さないで!それしか方法がない訳じゃないでしょ?ハルが消えれば世界は変わるの?」


その声は少し震えていた


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