空の姫と海の王子
ハルにとって、俺は何?
『彼氏でしょ』
少し前にウタと話した
だけど、本当にそうなのか?
左の薬指に違和感
手をやるとリングに触れた
冷たい感触と、蘇る記憶
『ずっと俺の隣にいて』
ハルとの未来を誓った証は
こんなにも冷たくて小さい
最初に付けた時よりも
リングは細くなった気がした
多分それは
気のせいなんかじゃない
これは特別な指輪だから
「ん……」
寝返りをうったハルは
すやすやと寝息をたてている
「ごめん」
今はハルと話せない
きっと俺はハルを責めるから
少しだけ、気持ちを整理させて
ハルに背を向けて城に帰った
もう一度だけ
指輪の存在を確かめて
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