空の姫と海の王子
「──ねえ、ちょっと……聞いてる?」
「……あ、ごめんっ!何っ?」
「全く……ここ最近ずっとそうね」
ナナは溜め息をつくと
紅茶を一口飲んだ
温かい紅茶のいい香りが
部屋の中に広がっている
ハルは目の前に置かれた
クッキーに手を伸ばして
一口、かじった
……はずだった
「ハル……それコースターよ」
「ごほがはごふぅっっ!!おっ……美味しくない!!」
「当たり前よ。美味しいコースターなんてリク並みに気持ち悪いわ」
深い溜め息をついたナナは
口直し(?)にクッキーを
バクバク食べるハルを横目で見た
あの時からずっとこうだわ
やっぱり何かあったわね……
数日前
盗られたはずの箱を持って
何故か花畑で寝てたハル
何があったの?と聞いても
「何でもないよっ」の一点張り
そして、ウザいくらい
ラブラブだったカイトとハルは
それ以来会ってもいない
カイトに事情を聞いても
「別に」の一点張り
何かあった事は明白だった
ナナ々は深い溜め息をついた
「……だから、今日はいよいよね。って言ったのよ」
「今日……何かあったっけ?」
「………」
ナナはまた溜め息をついて
カップをテーブルに置いた
窓の外に視線を移し
遠くを見るように目を細めた
「……今日は人間界に行く日よ」
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