空の姫と海の王子


「──なあ」

「………」

「なあってば」

「………」

「……カイトおおおおっ!!!」

「っっ!?」


キーンと痛む耳を抑えて
カイトはリクを思い切り睨んだ

普段なら凍りそうなくらいの
恐怖に襲われるリクだが
今は余裕そうに笑っていて

更にムカついたカイトは
右手に冷気を集中させていく


「わっ!!ごめんごめんごめすいませんでした!」

「……うるせえんだよ何度も。聞こえてるっての」

「じゃあ返事くらいしろよ!」

「あ?返事しただろ。馬鹿かお前」


や、してねえし!!
フルシカトだったし!!


耳おかしいんじゃねーの?
と嘲笑うカイトに向かって
陸は心の中で必死に訴えた

もし文句を声に出したら
即刻氷漬けにされるのは
ここ数日の体験で知っている


「……は?何このクッキー。超固いんだけど。シェフ死ねよ」

「………」


それコースタァァァッ!!

しかも水色だよそれ!!
水色のクッキーなんてねえよ!!

そんなのあったら
無邪気な笑顔を振りまく
ナナくらい気持ち悪りぃし!!


心の中で思いっ切り叫んで
叫んで、叫んで、叫びすぎて
呼吸が荒くなったリクは
はあ〜、と深い溜め息をついた


ここ最近のカイトは
ずっとあんなんだ


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