空の姫と海の王子
──お願いだから
早く誰か来て下さい
薄暗く狭い部屋の中で
ナナとリクは切実に願った
二人の視線の先には
重苦しい空気の原因
右隅で壁に寄りかかるカイトと
反対の左隅でちょこんと座るハルだ
ここは城の地下にある
今は使われていない倉庫の一室
サラが勧めたこの部屋は
確かに隠れるには丁度いいが
四畳ほどの部屋は狭く
埃っぽいし、カビくさい
カイトが出した小さな光だけが
ほのかに部屋を照らしていた
「………」
「………」
この空気どうにかしなさいよ
サラ達遅くね?
リクとナナは視線を交わして
お互いの胸の内を再確認するが
微妙に会話は成り立っていない
気まずい沈黙が続いて
リクが何か喋ろうと口を開く
「あ……あのさ『すまないハル!遅くなったな!』
リクの勇気を遮ったサラの声
リクとナナは笑顔になって
扉の方を振り返った
やっとこの空気から解放された!!と
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