空の姫と海の王子
『なんだこの空気は』
『暗くて、くすんでて居心地がいい部屋だね』
『……それはお前だけだと思うぞ?』
『そう?』
にこにこしている闇っ子ミウに
サラは呆れたように言った
そんな二人に近づいて
リクは小さな声で教えてあげた
「カイトとハルがまだ喧嘩してっからだよ」
『まだ喧嘩しているのか?……ところでリク』
「なんだよ」
『ハルが……見ているぞ』
一瞬動きが止まったハルは
恐る恐る振り返ってみた
体育座りをするハルと目があった
「ごめんなさい……」
そう言って子犬のようにハルは
申し訳なさそうに目を伏せた
その瞬間、部屋の空気が
更に悪いものへと変化したのを
リクは体全体で感じとって固まった
¨ハル至上主義者¨の前で
ハルに謝らせると言うことは
とんでもないことで……
『そうか。お前はそんなに死にたかったのか』
「安心しなさい。一瞬で終わるわ」
両手に武器を装備した
雷神と気神がリクに微笑み
『……じゃあ私も』
「ちょっと待てぃ!!」
リクの制止をスルーして
闇神も楽しそうに便乗した
こうなると、もう止められない
リクは命を諦めかけながら
チラリと後ろに視線を向けた
冷たい蒼の瞳と目があった
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