空の姫と海の王子


「……揃ったんなら早く始めんぞ。時間ねえんだから」

「あ?あぁ……そうなんだけどさ」


おいおい
いつものはどうしたんだよ

そんなのさ
らしくねえじゃん


リクが舌打ちをすると
すぐ隣で溜め息が聞こえた


『つまんない。いつものはどうしたの?』

「別にミウには関係ねえし」

『関係ある。ねえ、カイトとハルは何で喧嘩してるの』

「別に喧嘩なんて」


そこまで言って言葉に詰まった

ミウは目を逸らさずにカイトを見つめ
リクもナナもサラも黙って二人を見た

ハルだけが体育座りをして
膝に顔をうずめていた


「……してねえよ。喧嘩なんて」

『嘘。してるでしょ』

「してねえって言ってんだろ!!」


いつもの冷静さはない
感情的なカイトの怒鳴り声に
ハルがピクリと体を震わせた

それでもミウは目を逸らさず
カイトはしばらく漆黒の瞳を見つめ
それからばつが悪そうに目を逸らした


「……もういい。春」

「うん」

「始めよう」


さっさより少しだけ優しい声に
ハルは小さく頷いて立ち上がった

二人は胸元の¨鍵¨を握りしめた


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