空の姫と海の王子
『……長い間、歴代の空と海と共にこの世界を繋いできました。私は覚えています。その王達を』
悲しそうな、呆れたような
そんな雰囲気が声に出ていた
『その中でも、あなた達二人は最低です。はっきりと申し上げますが、私はあなた達に力を貸すつもりはありません』
「……!ちょっと待てよ!それって……」
カイトとハルは息を呑んだ
『私はあなた達を王と認めません』
冷たい、氷のような声が
何度も頭に響いた
空と海の扉を支配できない王なんていない
言い換えれば
空と海の扉を支配できなければ
王として認められないということ
ハルが床に膝をついた時
カイトは扉に手をかけていた
「……お前が俺らを認めないからなんだ。そんな事は後にしろ。俺達は急いでんだよ、早く開けろ」
『ああ、本当に馬鹿者だ。何故私が王以外の者に手を貸すのだ?私はあなた達の望む道を開く為に来た訳ではない』
言い終わると同時に
カイトの体がぐらりと傾いた
『己の未熟さを知りなさい』
開いた扉の向こうに広がる白
真っ白な光の世界に
カイトの体は吸い込まれていった
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