追憶

年間最長の自由時間1

これから

およそ40日・960時間の

自分の時間が待っている


とは言うものの

やはり俺は中学生なわけで

金もなければ

移動用の足が有る訳でもない

・・・

くっ・・・

いきなりどうしようか

迷ってしまった・・・


何をどうすればこの夏を

15年間で最高の夏休みにできるだろう・・・


そんなことを

夏の空を見上げながら

ぼんやりと考えていた

「ユート!何やってんだよっ!

 とっとと帰ろうぜ!」

不意に呼ばれて視線を下ろすと

そこには10年来の幼馴染が

日焼けした肌とは対照的な

真っ白な歯をむき出しにして

クシャっとした笑顔を見せていた

「マサルかよ

 何?そのテンションの高さは?」

「夏休みじゃねーか!

 なー兄弟!

 この気持ちの高ぶりを

 判ってくれよ!」

そう言うとマサルは

部活を引退して

半端に伸びた髪を

頭ごと俺に向かって押し付けてきた

・・・

マテ・・・

俺にそんな趣味は無い!

と、両手で力一杯に押し返したのは

言うまでも無い
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