追憶
帰路
4階建ての4階から

激しく肥大したバッグを担ぎ

昇降口へ降りて

正面に見える3階建ての職員棟を見据えながら

通学用の靴に履き替えた


暫く学校に来る事が無いと言う開放感!

(登校日があることはこの際触れないでいただきたい)

素晴らしいじゃないか!!



素晴らしいと言えば

校門から見えるこの景色だ

小高い山の上にあるため

山と海に囲まれた町並みを一望でき

水平線と空が交わる風景を堪能できる

この学校に通っていて唯一良かったと言える所だ


暫く足を止めてこの景観を楽しんでると

不意に後ろから呼び止められた

「2人ともちょっと待ってて!

 すぐにカバン取ってくるからネ!」

と声の主は自分の用件だけ述べると

短めのスカートを翻して

職員棟に姿を消した



俺達はどちらからとも無く

顔を見合わせると

プロサッカー選手並みのアイコンタクトで

足早にその場を後にした


この景色と暫くお別れになるのか・・・

たまの登校日くらいここに来るのも悪くない

そう思うと

ほんの少しだけ

登校日が待ち遠しく思えた
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