追憶

商店街

段々坂を降りきって

大通りを左に曲がると

商店街へと出る


最近はこの手の商店街も

随分減ってきたように思える

この商店街も

シャッターーを閉めている店が

随分目立つようになってきた


衣食に携わる店はともかく

学校側の入り口の角にあった

理髪店は去年店を畳んでしまった

俺が幼稚園に通ってる頃から

ずっとお世話になっていたのに・・・

店は老夫婦が2人で切り盛りしてたが

一人息子は関東圏の大学に行ったまま

向こうで就職をして

跡取りが居ない事と

やはりここ何年も続く不景気に

店の経営も苦しくなっていたらしい

俺は偶然にも最後の客で

翌日学校帰りに通りかかると

店は閉められていた

風の噂では息子さん夫婦との同居が

出来たとも出来なかったとも・・・


普段なら商店街を抜け右に曲がれば

男2人になるのだが

今日は3人一緒になった

俺が逃げ出さない様にとの

アユミの配慮だが

コレは俺にとっては好都合だ

先にマサルに家に行けば

なおさらその後の展開が楽になる

と、俺は踏んでいる

よし

「マサル、先にマサルの家に寄ろうぜ」
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