顔のない恋
それは私に、この事が
どんなに身体も心も深く傷付くかを痛感させた。


ズキン、ズキンと脈打つ度に痛む胸の辺りの服を強く握り、私も胎児の様に体を丸めながら
急に沸いてきた恐怖心を少しでも和らげたくて

微かに震える指先で
ケンジにメールをした。


お姉ちゃんの事を話し、最後に

「急に怖くなった。
だって、これってもしかしたら私にも起こっていたことかもしれないから……」

そう書いて送信すると
ケンジから直ぐに返信がきた。

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