学び人夏週間
すべての荷物を持っている松野はそのまま風呂場へ向かわせて、私と俊輔、そして重森は着替えと風呂道具を取りにいったん部屋へ戻る。
「先生、愛されてんな」
重森がからかうように言うが、満ち足りた気分の私は胸を張って言い切った。
「当たり前でしょ。イイ女だもん」
期待した反応が得られず不満げな彼が、私の期待通りのうんざりした顔になる。
「自分で言うなよ、キモッ」
「重森ってば、ヤキモチ? 私を市川先生に取られて寂しいの?」
「はぁ? バカじゃねーの、何で俺が」
重森も、松野も。
あんなに可愛くなかったのに、今ではこんなにも可愛くて愛しい。
私たちのやり取りを見ていた俊輔は、後ろで楽しそうに笑っていた。