学び人夏週間
3日目
軽快なピアノの音と共に、今日も一日が始まる。
意識しなくても、体が勝手に動く。
ラジオ体操は体に染み付いているものだと実感した。
ダルそうにやる者も、ちゃんとやる者も、異常に張り切ってやる者も、動作の程度の違いはあれど、ぴったりと同じタイミングで体を動かす。
しかしその中でも、なんとなく苦手に思っている動作がある。
流れるような音に合わせて体を回す運動と、跳ねるような音に合わせてジャンプをする運動だ。
前者は他の運動に比べて動作が大きく、つい腕の動きに頼ってしまう。
同じように感じている生徒も結構いるのか、体ではなく腕だけ回している物もチラホラ。
後者は、途端にここでみんなの動きがバラけ、自分のリズム感に自信がなくなる。
それまで音に合わせてぴったりタイミングが合っていたのに、飛んでいる間は頭がピョコピョコばらばらに跳ねるのだ。
無様な軍隊を見ているようで滑稽だ。
……と、小学生の頃から思っていた。
私こそずれているのかもしれない。
だとしたら、地味に恥ずかしい。
ラジオ体操が終わると、今日は俊輔が朝礼台に上ってマイクを握った。
「みんな、おはよう!」
「おはようございまーす」と、笑い混じりでバラバラに聞こえた。
俊輔のやつ、朝からテンションが高いなぁ。
朝礼台のむこうにある掲揚台が目に入り、昨夜のことを思い出して心が温かくなる。
「え~、今日はね、夕食後に肝試しをやろうと思ってます」
「え~? きもだめしぃ~?」
生徒から期待や不満、疑問の声が湧く。