学び人夏週間
これは肝試し。
懐中電灯の明かりだけが頼りで、景色はとても不気味。
だけど、込み上げる笑いを抑えられない。
「ふふふ。うふふふふ。あはははは」
「なんだよ。キモい」
重森は急に笑い出した私を気持ち悪がって、数歩分距離をとる。
それでも、私は笑いが止まらない。
だって、まさか中学三年生の男の子と、こんな話をするなんて思ってもみなかった。
いいなぁ、青春。
私もまだ、ギリギリ青春なのかもしれないけど、もう彼らほどピュアには過ごせない。
「中学生の頃ってさ、好きな人とか知られるの、恥ずかしかったなー。告白しようとか思ったら、それだけで一生分のエネルギー使うって感じだった」
彼はまさに今、そんな気持ちなのかな。
恋心を持て余して、誠意と下心との間で揺れ動いて、甘くて苦しい、甘酸っぱい気持ち。
「なんだよ。そりゃあ恥ずかしいに決まってんだろ」
重森は拗ねた顔をしている。
頑張れ、重森。
今はまだ片想いだけど、だからこそ。
先のほうにうっすら明かりが見えてきた。
山小屋まで、あと少し。