学び人夏週間

「ちょっと君……あれ?」

車から降りてきた警官が、不思議そうな顔をしました。

そして何かを探すように僕の周囲を見回します。

もう一人の警官も車から降りてきて、不思議そうな顔をするんです。

そして同じように、何かを探し始めます。

「どうしたんですか?」

僕が聞くと、警官の一人が答えました。

「さっき、女の子を乗せて走っていただろう?」



生徒の息を飲む音が聞こえた。

室内はしんと静まり、開いた窓から風が入る音がやけに響く。

蝋燭の火が不気味に揺れている。

田中先生は、続けた。



50ccの原付バイクは二人乗り禁止なので、警官は二人乗りを注意しようと僕に声をかけたそうです。

しかし、もちろん僕は女の子なんて乗せていません。

当然、女の子はどこにもいません。

でも警官は二人とも、確かに女の子が僕のバイクに乗っていたと言うんです。

おかしな話ですよね。

僕は気味が悪くなって、後ろに乗っていた女の子の特徴を聞いてみました。

「髪は長かった」

「白い服を着ていた」

そう、僕が街灯のない道で見た女の子と、特徴が同じなんです。

僕は彼らに、髪が長くて白い服を着た女の子を見た話をしました。

けれど、決して後ろに乗せてはいないと。

その証拠に、その子はここにいないし、隠れられる場所もないと。

我々は三人で鳥肌を立てました。


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