【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙①〜
「まあ。やっぱり、一の君は、姉姫様をお慕いなさっているのだわ」

香月姫は、こう言って、ぷいとよそを向いておしまいになりました。

「香月姫……」

「おっしゃらないで。あちらへお行きになればよろしいのだわ」

香月姫は、震える声で、怒ったようにそう言うと、二の君の後を追いかけていってしまいました。

「私達と遊んでいらっしゃるよりも、あちらで一の姫様とお話なさっていたほうが、きっと、一の君には楽しいのでしょう?」
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