【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙①〜
薄紅梅に、くっきりと浮かんだ墨跡をお眺めになって、一の君は、深くため息をおつきになりました。

そこへ、

「あら、一の君、おひとりで何をなさっていらっしゃるの?」

一の姫が、ひょっこりとお立ち寄りになったものですから、一の君は飛び上がるほど驚かれて、書き散らした薄様を、握りつぶしておしまいになりました。
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