【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙①〜
これは、まだ、少将殿がいとけなき童であったころのお話でございます――。

少将殿がお父上、左大臣(さのおとど)の北の方(正妻)、紅君(くれないのきみ)には、このころ、後の少将殿となられる一の君のほかに、二人の姫と一人の若君がおりました。

一の姫と一の君(少将殿)は、御年も二つ違いと年近であったためか、たいそう仲もよく、また、お二人ともに賢しい子と評判で、風流遊びにも長けておりました。
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