【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙①〜
そのお心の動揺に答えるように、白いつぼみが月明かりに揺れて、さらさらと夜空に桜の花びらが舞い落ちていきます。

「姉様……」

いつか、紅君が、「一の君の、姉上をお慕いする様ときたら、まるで、恋をなさっているようね」とおっしゃっていたことが思い出されて、一の君は、そのお心が締め付けられる思いになられました。

我知らず、涙があふれてまいります。
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