ハート
あの日から、 私と彼の距離はぐんと縮まった。


私がバイトのある日は、彼はいつも整骨院へ来て 帰りもさりげなく送ってくれた。

まるでそれが日課ででもあるかのように…

いつのまにか、そんな関係が当たり前になっていた。



いつしか私は彼のことを まーと呼ぶようになっていた。
大野さんなんて堅いから、下の名前で呼んで欲しいという彼の希望に応えて。

そして彼も私のことをナナと呼んでいた。



バイトが終わるといつも、白いエスティマに乗ったまーが待っていてくれるのが何よりの楽しみだった。

送ってもらう車の中で、色んなことを話した。


そうやって私たちは、お互いのことを少しずつ知っていった。



少しずつ… 少しずつ…




だけど二人の距離は、着実にどんどん近づいていた。


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