ハート
映画館は土曜日にしては割と空いていた。


私たちは、一番後ろの方の席に並んで座った。


あまりカップルで観るような内容の映画ではなかったけれど、それよりもまーとくっついていられることの方が嬉しかった。


私は安心しきって、いつのまにかまーの肩に首を凭れたまま眠ってしまっていた。


時々まーが優しく頭を撫でてくれるのが、とても心地よかった。








「よく眠れた~?」


「ん~…ごめん、寝ちゃって」


「気にすんなって」




まだ寝ぼけて足下がフラフラしている私を支えるように、まーが手を握ってくれていた。



「今、18時くらいだけど この後どうする?」


まーが腕時計を見ながら言う。


「そうだな~、じゃあ…まーの家行きたい!」


半分冗談で言ったつもりだったのだけれど、まーはすんなりと受け入れた。



「いいよ。散らかってるけど、おいで」





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