ハート
家へ着くと、まーはいつものように私にミルクティーを持ってきてくれ、自分はコーヒーを飲んでいた。


「寒くない?」

私がカップを両手で包み込んで手を温めているのを見て、すかさずまーが聞いてくる。
まーは本当に気配りが上手くて、いつも感心してしまう。


「大丈夫だよ。コタツあったかい」


「そっか、よかった」


まーが再びコーヒーに口を付ける。



「ナナ、体調は大丈夫なの?」


私の顔を覗き込みながら、まーが訊ねた。




「本当はあんまり大丈夫じゃないんだ。 心臓への負担がどんどん大きくなってるみたいで、こないだみたいな発作がまたいつ起きるかわからないの。 でも、薬があるから大丈夫だよ」



「そうなんだ…」



まーは深刻そうな顔をして、俯いている。





「そいえばさ…」


言いかけたまま言葉に詰まっているまー。

何か嫌な予感がして、不安が募る。


「何?どうしたの……?」

耐えきれなくなって、私が急かすと やっと口を開いた。



「うん…実は俺、ナナに一つ謝らなきゃいけないことがあるんだ」



聞きたくない…… 咄嗟にそう思った。




 
しかし、そう思ったときには時すでに遅く…

私の耳には、とても信じられないような言葉が聞こえてきた。







「俺、彼女ができたんだ」




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