ハート
「何泣いてんの? 泣くなよ…」


まーがやっと、今日初めて私のことをしっかり見つめてくれた。



「だって…まーどうしちゃったの? こんなのいつものまーじゃない… こんなんじゃ一緒にいたって全然楽しくないよ…  これから先も、もうずっとまーがこんなんなら、もう今日が最後でいいよ… 」




まーはしばらく何かを考えるように黙っていた。




近くのコンビニの駐車場に車を駐めると、まーはやっと口を開いた。



「俺、こないだナナにメールで初めてボロクソ言われて、正直すごいヘコんだんだよね…   俺が今までナナのためにってしてきたこととか、全部否定されたような気がしてさ…   ナナのためにって思ってしてきたことが、ナナを傷つけてただけだったんだって思ったら なんか悲しくなった。 ナナにもどう接していいのかわからなくなった。  素の自分を出すのも怖くなった…  だから、今日ずっとあんな態度とっちゃったんだ。 ごめん……」



そう言ったまーの瞳からも涙が流れていた。



「ナナ、本当にごめん。 ナナに一番好き?って聞かれる度に、いつも胸が痛かった…  ナナが彼女のこときにしてるのわかってたから、わざと同棲の話とかしたんだ… 一度そう言っておけば、もう聞いてこないだろうと思ったんだ……  だけど、ナナをこんなに傷つけてた。
本当にごめん…」




ずっとすれちがっていた心が、やっと重なり合った。


まーも私も、それぞれ お互いにはわからない深い傷を心に負っていた…



その傷を癒しあうように、私たちはそのままずっと二人で涙を流し続けた。


流した涙の分だけ、二人の距離はまた縮まった。







散々泣き疲れて、 真っ赤に腫れたお互いの目を見て笑い合うころにはもう 私たちはすっかり、以前の二人に戻っていた。
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