ハート
気がつくと、もう夕方になっていた。



「おなかへった~」


まーはベッドを抜け出し、私が作ったケーキの残りを食べている。

私はそんなまーの姿を見ながら、一人微笑んでいた。





ふと…


ベッドの横にある小さな机の上に一通の手紙が開いておいてあるのが目に入った。


何気なく目をやって、その手紙に目を通した瞬間 私は凍り付いた。








まーの彼女からの手紙…




それも、バレンタインチョコと一緒に送られてきたもの…







幸せだった時間が、一瞬で地獄のように真っ暗闇に変わった。



最高級のゴディバのチョコを送ったと書かれていた…


自分があげた、誰でも作れるような安い手作りケーキを見て、 悲しくて涙が溢れた。


私はそのままベッドに突っ伏した。






手紙には、同棲のことも書かれていた。 来年のバレンタインは一緒に過ごそうと書かれていた。


来年…



それは、私にとっては一生来ることのない遠い遠い未来のことのような気がした。




まーは来年、この手紙の彼女と過ごす。 二人の新しい家で…




そのころ私は、もうこの世にはいないのだ。




私がいなくなったらまーは、その彼女と結婚し幸せな家庭を築くのだ……





堪らなかった…






もう息をするのさえ苦しかった。



忘れかけていた残酷な現実を目の前に突きつけられて、 私の苦しみは一気に限界に達してしまった…





「ナナ?どーしたの?」






大好きなまーの声にさえ、今は腹が立った。




私のいないところで、まーはこの女のことばかり考えていたんだ。

二人で将来の約束をしていたんだ。







私なんか、 最初っから邪魔者だったんだ



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