ハート
私の異変に気づいたまーが近寄ってきた。



「ナナ…?どうした……?」



無神経なまーに腹が立つ。


言葉は何も出ないのに、涙だけは次々に私の頬を伝ってベッドのシーツを濡らした。



「私…、やっぱ邪魔者なんだね」



その一言で、さすがのまーも何か察したようだった。


「何か見たの?」



私は小さく頷くと、ベッドの脇の机を指さした。




まーの顔が思わずハッとして、次の瞬間こわばった。



「ごめん……」



私は何も答えずに、ただひたすら泣き続けた。


答えたくても、何も答えられなかったのだ……



胸が張り裂けそうに苦しくて苦しくて、息をするのもやっとだったのだ。




まーはそんな私の背中を何度もさすりながら、ごめんごめん……と謝り続けた。


背を向けているから顔は見えなかったけど、まーも泣いているのがわかった。





こうやって、今まで何度二人で涙を流してきただろう…

その度に私たちの絆は深まり、距離は縮まっていった……



だけど、今回ばかりはそうはいきそうもない。




私のこの傷は、まーが彼女と繋がっている限り消えることはない。



それが今、身にしみてわかった。









私は……  もうだめだ
< 58 / 78 >

この作品をシェア

pagetop