ハート

Hart

あの日曜日から数日後、まーは予定通り九州へ行った。


寂しくて寂しくて何度も泣きそうになったけれど、そのたびに歯を食いしばって耐えた。



まーと別れたあの日から、私はまだ一度も泣いていなかった。


命が終わる時までもう涙は流さないと 胸に決めていたのだ。






それからまた数日が経ち、私はもうベッドから起きられないほど衰弱した状態になっていた。

自発呼吸もできなくなり、人工呼吸器をつけたまま
薄れゆく意識の中で まーからのメールを待った。



まーは毎日欠かさずメールをくれていたけれど、私の方がだんだんに返事を返せなくなっていた。




徐々に消えゆく意識の中で、最期の力を振り絞って まーに一通のメールを送った。





そして、まーからの返事を待つことなく 私はそのまま夢の世界へと落ちていった。


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