不思議の国とアリスのゲーム
「それにしても、今年はチーム戦だから昨年の優勝者のノエル=フルール、那紅琉=秋月ペアが出ると思っていたけど・・・」
「あっ、私がシャルルに頼んだの」
「そうだったのかい。君がこの催しに興味を持ってくれて嬉しいよ」
「あ、ははは・・・」
ゲームクリアの為、とは言えなかったアリス。
ごまかすように渇いた笑いを。
「・・・それにしても・・・・・・」
じーっとアリスを見つめだしたハンプティ=ダンプティ。
「・・・えーっと、何か?」
耐え切れなくなり、口を開いたアリス。
「ああすまない。気を悪くしたなら謝るよ。ただ、あまりにも、似ていたからね・・・」
似ていた・・・・・・?
「誰に?」
「君と同じ、記憶も霞むほど昔のプレイヤーの『アリス』だよ」
「そう・・・なの」
懐かしむように言ったハンプティ=ダンプティに、アリスはそう言うしかなかった。
「・・・それじゃ、俺らは帰るよ」
チョーカーを手にして立ち上がったチェシャ猫。
「今年は、満月の夜だよ」
「・・・そう。じゃ」
それだけ言うとチェシャ猫はスタスタと歩きだした。
「あ、待ってチェシャ!」
慌てて立ち上がったアリス。
「アリス」
歩きだそうとしたアリスは、ハンプティ=ダンプティの方を見た。
「・・・頑張りたまえ。主催者としてあまり言ってはいけないが、私は君達に是非勝ってほしい」
「!!あ、ありがとう・・・それじゃ、さよなら」
今度こそ去って行ったアリス。
その背中を見ながら、ぽつりとハンプティ=ダンプティは言った。
「・・・是非、勝ってくれたまえ・・・・・・アリス=リデル・・・」