不思議の国とアリスのゲーム
怒りながらチェシャ猫に説明を求めるアリスに少しチェシャ猫は後ずさりながらも答えた。
「あ、あいつはトカゲのビル=トゥール。
このゲームでは『アリス』を狙う敵だ」
「敵って・・・なんで敵なんかがいるのよ!」
「それは、このゲームの管理者に聞け」
管理者という言葉にアリスは「えっ」と思った。
「このゲームに・・・管理者なんているの?」
「管理者がいなきゃゲームは成り立たない」
どういう意味――?
「管理者がいなきゃ、ゲームの住人が好き勝手に動く。ビルがいい例だ」
「なんで?」
「本来ならまだあいつは現れない。だけどビルは、早く『アリス』にGame・overになってほしいから襲った。
そんなふうに自分の為に好き勝手にする奴をおさえるのが《管理者》の役割」
ふーん、そうなんだ。
好き勝手に・・・『アリス』を・・・
「なんでビル・・・は、早く『アリス』を、その、Game・overにしたいの?」
一瞬さん付けにするべきかと悩んだアリスだったが、自分を殺そうとした奴に付ける必要はないと判断した。