不思議の国とアリスのゲーム
「あっ、ておまえ、まさかアリスを置いてきたのか?」
「いや、あいつが勝手に逸れた」
焦る帽子屋とは違い、しれっとした感じのチェシャ猫。
「はあ〜、どうすんだよ。もし<蕾の道>に行っていたら」
呆れた様子で椅子に座った帽子屋は机に頬杖をついた。
「何か不都合でも?」
「や、絶対にあいつはアリスを気に入るだろうから・・・」
ぶつぶつとなにかを言い出した帽子屋に?を浮かべたチェシャ猫だったが、直ぐにああ、と言った。
「おまえ、あいつがアリスと仲良しになって自分が相手にしてもらえなくなるのが嫌なのか」
ニヤニヤしながら言うチェシャ猫の言葉に帽子屋は眉をピクッと動かした。
「おまえって嫉妬深いのな。
那紅琉が大変だ」
「・・・うるせー」
そう言って帽子屋は紅茶を啜った。