不思議の国とアリスのゲーム
恐る恐るアリスが振り向くと、そこには怒りをあらわにした帽子屋が。
普通に怒るならまだいい。
しかし帽子屋は静かに怒っていて、アリスは恐怖に顔を引き攣らせた。
「ぼ、帽子屋さん?」
「なんだいアリス」
アリスに向けられた笑顔は、一見爽やかな笑顔に見えるが、よくみると目が笑っていない。
「ナンデモナイデス」
アリスはそう言うのがやっとだった。
そのせいか喋りが片言に。
那紅琉の方をみると、青ざめた顔をしていた。
チェシャ猫は那紅琉を抱きしめたまま寝ている。
「チチチ、チ、チェシャ・・・」
那紅琉が帽子屋からの視線を避けながらチェシャの腕を叩いた。
「ん・・・何」
「今直ぐ離れて下さい
お願いします・・・」
「えー」
「私が殺されてもいいんですか!!」
そう那紅琉がいうとチェシャ猫は渋々離れた。
そして帽子屋を見たチェシャ猫は頭をかいていた手をピタリと停めてアララ、といった表情をした。