不思議の国とアリスのゲーム
驚きの余り立ち上がったアリスはハートの騎士に詰め寄った。
「それホント!?ホントに人魚なの!?」
「あ、ああ」
珍しく興奮気味のアリスは嬉しそうに何度も聞いた。
そんなアリスにハートの騎士は引き気味だった。
「アリス様、とりあえず落ち着いて」
「あ、ごめんなさい」
言われてハッとしたアリスはソファーにまた腰掛けた。
「・・・人魚、好きなのか?」
嬉しそうな笑みを浮かべているアリスに尋ねたハートの騎士。
それにアリスはええ、と笑顔で答えた。
「私、昔から姉さんによく本を読んでもらっていたんだけど、その中でも『人魚姫』が好きだったの」
今は会えない姉の事を思い出しながら話すアリスは、どこか淋しげだった。
「不思議の国のアリスじゃないんだな」
ハートの騎士はちょっと意外そうに言った。
「もちろん、その話しも大好きよ?
でも私、全くと言っていいほど泳げないから憧れてて」
へへ、とアリスは頬をかいた。