不思議の国とアリスのゲーム
チェシャ猫は何も言わず、那紅琉の背後にあるハートの城を見上げた。
「・・・もう一度言います。
アリスの駒となり、Chess Tournamentに参加しなさい」
チェシャ猫はフッと笑うと那紅琉に近づいた。
何をするのかと眉を寄せ、軽く首を傾げた那紅琉。
―ゴンッ
「イッ!!?」
チェシャ猫は那紅琉の頭をおもいっきり叩いた。
しかもグーで。
「〜っ!な、何するですか!!?」
頭をおさえてうずくまる那紅琉を鼻でハッと笑ったチェシャ猫。
「さっきの仕返しだ。
やられっぱなしは嫌なんだよ。
それはおまえが一番わかってるだろ」
そういうとチェシャ猫は那紅琉に半ば無理矢理自分が持っていたホースを渡して、お城に向かって歩き出した。
「何処に・・・」
「決まってるだろ。
『MASTER』のところだ」
ヒラヒラと那紅琉のほうを向かずに手を振るチェシャ猫。
その後ろ姿を見て、那紅琉は手元のホースを見た。
「あれ?私がやるのですか?水やりを」
ちゃっかり那紅琉に水やりを押し付けたチェシャ猫。