JDKハルヤ 〜性同一性障害のモデル〜
チャペルから同じ館内にある披露宴会場に移ってからもアタシは幸せに包まれていた。
たとえ過去に辛い思いがあったとしても、今はこうしてこれだけのヒトがアタシを、アタシ達を祝福してくれている。
それが、アタシには十分すぎるほど幸せなことだ。
だけど、アタシをモデルに導いてくれたカミーユさんもこの式場にはいなかった。
アタシが「オンナ」の子として初めてランウェイを歩いた大きなステージで、ティーンズ雑誌の「ギャルヒー」から卒業し、海外に活動拠点を移してから一度も会えていない。
きっとカミーユさんのことだから相変わらず元気にしているだろう。
カミーユさんはそういうヒトだから。
いろいろと懐かしい顔に思い巡らせていると、もう式も終わりに近づいていた。
「それでは新婦ハルヤさんの一番の親友、藤枝リエさん。お願いいたします」
アタシが読者モデルからモデルになるにあたって所属することになった小さな事務所の社長が式の司会進行をしてくれていた。
小柄でかわいらしいのに所属タレントにはビシバシ正直な意見を言う女性だ。
「藤枝さんは新婦ハルヤさんの中学時代からのご友人で、今ではモデルのハルヤさんの専属メイクもされている仲のいいお二人です。ご準備はよろしいでしょうか?」
「―――はい」
リエがアタシのすわる席の斜め前にあるマイクの前に立ち、アタシに向かって微笑んだ。
持っていた手紙に目を落として息を吐く。
たとえ過去に辛い思いがあったとしても、今はこうしてこれだけのヒトがアタシを、アタシ達を祝福してくれている。
それが、アタシには十分すぎるほど幸せなことだ。
だけど、アタシをモデルに導いてくれたカミーユさんもこの式場にはいなかった。
アタシが「オンナ」の子として初めてランウェイを歩いた大きなステージで、ティーンズ雑誌の「ギャルヒー」から卒業し、海外に活動拠点を移してから一度も会えていない。
きっとカミーユさんのことだから相変わらず元気にしているだろう。
カミーユさんはそういうヒトだから。
いろいろと懐かしい顔に思い巡らせていると、もう式も終わりに近づいていた。
「それでは新婦ハルヤさんの一番の親友、藤枝リエさん。お願いいたします」
アタシが読者モデルからモデルになるにあたって所属することになった小さな事務所の社長が式の司会進行をしてくれていた。
小柄でかわいらしいのに所属タレントにはビシバシ正直な意見を言う女性だ。
「藤枝さんは新婦ハルヤさんの中学時代からのご友人で、今ではモデルのハルヤさんの専属メイクもされている仲のいいお二人です。ご準備はよろしいでしょうか?」
「―――はい」
リエがアタシのすわる席の斜め前にあるマイクの前に立ち、アタシに向かって微笑んだ。
持っていた手紙に目を落として息を吐く。