JDKハルヤ 〜性同一性障害のモデル〜
最後の演出はフラワーシャワーだった。
式場の正面にある豪華な扉から動物の形に刈り込まれた植木の庭へ続く階段でみんなが待っていてくれる。
「ねえ、ナツキ君」
「ん? どうした?」
「エリー、来なかったね」
「うん。招待状の返事もなかったし、メール送っても返ってこなかったからな」
「………うん」
「やっぱり、来てほしかった?」
「ほんとうはね、来てほしかったんだよ。でも、来てくれないってわかってたけど、友達だったから」
たとえ初めから嫌いだったとしても、ウソだったとしても、アタシに友達として接してくれたことを今でも感謝している。
「そうだね。そろそろ、行こうか?」
式場スタッフが重そうな扉をゆっくりと開ける。
アタシ達を祝福してくれたヒト達がみんな両手に花びらをいっぱいにして待っている。
その中に、リエと近藤君の間に挟まれて立っている女性。
ドレスではなく、スーツを着て大人びた顔をしている。
「―――エリー?」
髪の毛は真っ黒でメイクも控えめなナチュラルメイクだった。
すっぴんみたいなかわいらしい顔が少しご機嫌斜めだ。
「ハル! エリーが隠れて見てたから連れてきたよ!」
花びらと「おめでとう」が舞い踊る階段で、リエがアタシに花びらを降らせながら言った。
「隠れてたんじゃない! たまたま就活で近くに来ただけ!」
エリーはそう言いながらアタシの頭上に花びらを飛ばす。
「素直になれよ! エリー! ありがとな!」
ナツキ君もエリーに声をかける。
「私からナツキを奪った女がどんな顔してるか見に来ただけよ!」
「………え?」
今、エリーがアタシのことを「オンナ」って―――
「エリー。その前に言うことがあるでしょ?」
リエに促されるエリー。
二人の前に立ち止まったアタシとエリーの視線が交差する。
「―――ハル、とりあえず、ごめん。だから、おめでとう! お幸せに!」
式場の正面にある豪華な扉から動物の形に刈り込まれた植木の庭へ続く階段でみんなが待っていてくれる。
「ねえ、ナツキ君」
「ん? どうした?」
「エリー、来なかったね」
「うん。招待状の返事もなかったし、メール送っても返ってこなかったからな」
「………うん」
「やっぱり、来てほしかった?」
「ほんとうはね、来てほしかったんだよ。でも、来てくれないってわかってたけど、友達だったから」
たとえ初めから嫌いだったとしても、ウソだったとしても、アタシに友達として接してくれたことを今でも感謝している。
「そうだね。そろそろ、行こうか?」
式場スタッフが重そうな扉をゆっくりと開ける。
アタシ達を祝福してくれたヒト達がみんな両手に花びらをいっぱいにして待っている。
その中に、リエと近藤君の間に挟まれて立っている女性。
ドレスではなく、スーツを着て大人びた顔をしている。
「―――エリー?」
髪の毛は真っ黒でメイクも控えめなナチュラルメイクだった。
すっぴんみたいなかわいらしい顔が少しご機嫌斜めだ。
「ハル! エリーが隠れて見てたから連れてきたよ!」
花びらと「おめでとう」が舞い踊る階段で、リエがアタシに花びらを降らせながら言った。
「隠れてたんじゃない! たまたま就活で近くに来ただけ!」
エリーはそう言いながらアタシの頭上に花びらを飛ばす。
「素直になれよ! エリー! ありがとな!」
ナツキ君もエリーに声をかける。
「私からナツキを奪った女がどんな顔してるか見に来ただけよ!」
「………え?」
今、エリーがアタシのことを「オンナ」って―――
「エリー。その前に言うことがあるでしょ?」
リエに促されるエリー。
二人の前に立ち止まったアタシとエリーの視線が交差する。
「―――ハル、とりあえず、ごめん。だから、おめでとう! お幸せに!」