tipe-DOLL【No.1007】
モンスターは二人の方にゆっくりと近づいてくる。

長い腕を左右にぶらぶらと揺らしながら。

「に、逃げなくちゃ…」

健は座り込む美子の腕を取ろうとしたが、美子は完全に腰を抜かしていた。

「み、美子。逃げよう。」

「わ、わかってるけど…ダメ。立てないわ。健、逃げて。」

「何言ってるんだよ!ほら、僕の背中に…」

「そんなことしてたら逃げ切れないわよ!いいから早く逃げてっ!」

「無理だよ!」

健が強引に美子を肩に担ごうとした瞬間、モンスターが二人に向かって走り出した。

鋭い爪が降り下ろされる。

健は美子を抱え込み、美子は大声で叫んだ。

「いやぁぁぁーっ!!!」




< 12 / 76 >

この作品をシェア

pagetop