tipe-DOLL【No.1007】
少女は軽く腕を振り、付着した血液を払った。

無表情のまま、健と美子の方を向いて言った。

「…無事?」

「は…はい。」

健は震える唇で何とか答えた。

「そう。…気をつけて。」

それだけ言うと少女はその場を立ち去ろうとした。

「…待って!あ、あなたは誰なの?」

美子は座り込んだまま、声を上げた。

少女は立ち止まり、二人を見つめた。

「…エリカ。」

一言だけ告げると再び歩きだした。

そのまま一度も振り返ることはなかった。



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